院長の職人歯科医コラム Column

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2011/12/02

見直される「噛む」ことの重要性

幼い頃、食事の際に親から「よく噛んで食べなさい」と
言われた経験は誰にでもあるでしょう。

江戸時代の儒学者 貝原益軒が「人は歯をもって命となす」
と唱えたように、人が健康に生きてゆく根本は昔も今も変わらない。

だが柔らかいものがおいしいとされがちな今、貝原益軒の時代とは
比べようがないほど1回にかける咀嚼回数は激減しています。

噛むことの基本は、口に入れた食べ物を歯と舌で噛み砕き、唾液と
混ぜ合わせて飲みやすくして消化を助けることです。

だが、それ以上に肝心なのは噛むことで脳を刺激し、活性化させる
ことです。

脳と噛むことの関係について研究する研究者からの報告で

「噛むことと脳の関係は極めて深く、噛むことで体を健康にすると
 同時に脳も元気にします。私たちが行った実験でガムをしっかり
 噛んだときのさまざま部分の血流が神経活動が増え活性化している
 ことが分かりました。
 中でも、最も高次な脳の中枢であり認知症とのかかわりが深いと
 されている海馬と前頭葉も活性化されることがわかりました。」

 との報告がありました。

前頭前野には中心的な働きとして「集中力」「意欲」「共感力」
「切り替え力」「感情のコントロール」が一方の海馬は新しい
記憶を形成するところであり、これが低下するとうつや感情をが
抑えられなくなったり、直近の記憶をなくしたりなど認知症特有の
症状が現れるとのことです。

65~75歳までの高齢者を対象に行った記憶力に関する実験でも、
2分間ガムを噛んだときと、噛まないときでは記憶力に差が出たという。

つまり、よく噛むことが認知症予防に役立つというわけです。

しっかり噛む食事を心がけるだけで脳が変わり認知症が予防できる
としたらこんなうれしいことはないです。

忙しくて時間がないなら。せめてガムを噛むくらいは心がけたいです。

                まつお歯科  松尾孝夫   文献:夕刊フジ

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