院長の職人歯科医コラム Column

HOME > 院長の職人歯科医コラム一覧 > 歯周病をあきらめないで

2013/06/24

歯周病をあきらめないで

バイオフィルムとは、まだ私たちにとって聞き慣れない言葉ですが
、簡単に言うと、複数の細菌が重なり合って粘性のある膜状の集合体として
ある固体の表面に付着した状態のこと。例えば、キッチンの排水口や下水管に
付いたヌルヌルした膜もバイオフィルムの仲間です。

歯周病は、このバイオフィルムが口の中の特に歯の表面に付着し、
歯と歯ぐきの間を抜けて、歯槽骨まで到達し、歯を土台から
蝕んでいく病気です。

最初は歯垢(プラーク)と呼ばれる、誰にでもある歯の汚れが
歯と歯ぐきの間に溜まり、そこが歯周ポケットとなって、
歯ぐきに炎症を起こします。

さらに、ポケット内に入り込んだバイオフィルムが増殖すれば、
歯周病の悪化を引き起こすのです。

特に30代以降になると、歯と歯ぐきの間に隙間ができたり、歯ぐきが
痩せてきたりするほか、免疫力も低下し、唾液の分泌量も減っていくので
細菌が繁殖しやすくなり、バイオフィルムが増殖しやすい環境になりがちです。

歯周病は時間をかけて進行する病気で、一度かかったら治らないと
思っている人も多いと思いますが、初期段階であればバイオフィルムを
徹底的に除去するなど、適切なケアをすれば治ります。

◆抗生物質も効かないバイオフィルム対策は?
バイオフィルムの恐ろしいところは、複数の細菌の集合体であるがために
、細胞分裂の速度が、浮遊性の細菌と比べて著しく低下します。

細菌を殺す働きのある「抗生物質」は、細胞が分裂する際に効果を発揮するため、
分裂に長い時間がかかるバイオフィルムの治療薬にはなりません。

つまり飲み薬での治療は今のところ不可能と考えていいでしょう。

歯周病予防のためには、毎日のていねいな歯磨きが一番大切です。

1日5分程度を、自分の歯のためにかける時間と思って、根気よく磨きましょう。

およそ1ミクロン程度の小さな細菌を取るために、気をつけたいことは、
毛先の細い歯ブラシで小刻みにブラッシングすることです。
力を入れ過ぎないように注意しましょう。


そして最後に、セルフケアだけだと取り残しが生じるので、
定期的にケアする方がいいでしょう。

  まつお歯科 松尾孝夫 文献;まつお歯科携帯サイトコラム

コラムの関連資料は、PDFファイルです。
PDF ファイルをご覧いただくためには、Adobe Reader ® が必要です。
アドビ社のサイトより無料でダウンロード可能です。

Adobe - Adobe Readerのダウンロード