院長の職人歯科医コラム Column

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2012/01/31

神経を取ったのに痛い

歯が痛くなり、来院した患者さんに「この歯は、以前神経を取った
はずなんですが、どうしてまた痛くなるんですか?」と聞かれる
ことがあります。

歯の中には歯髄腔と呼ばれる穴が開いており、その空洞にいわゆる
歯髄と呼ばれる神経組織や血管が入っています。

この歯髄が「歯がしみる」とか「むし歯で痛む」という感覚の元に
なっているため、むし歯が深くなって細菌が歯髄に入り込むと炎症
を起こして激しい痛みを生じます。

こうした場合、麻酔をして歯に穴を開け、歯髄腔の中の歯髄を除去して
消毒した後に根充剤という薬を歯髄腔に詰め込んで封鎖する治療を行います。

歯髄の処置をした歯のことを無髄歯と呼びますが、この無髄歯は歯の中に
神経がないため、いわゆるしみる感じとか、むし歯で痛むというような
感覚は生じません。ではなぜ痛くなるのでしょう?

無髄歯が痛くなる多くの原因は、歯根膜と呼ばれる歯と歯を支える歯槽骨
との間にある組織の炎症です。

つまり歯の外側の組織が痛みの元になっていたのです。

この歯根膜が炎症をおこすと、歯をたたいたり、物をかんだりすると
ひびくような痛みを生じ、炎症が増悪すると自発的な痛みも出てきます。

また、炎症が広がると腫れて膿(うみ)がたまることもあります。

歯根膜の炎症が慢性化すると、腫れや痛みはなくなりますが、徐々に
周囲の骨を溶かしてしまい、難治性の膿の袋を形成することもあるので
早めに治療することが望ましいでしょう。

 まつお歯科           松尾孝夫         文献:福島民報

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